- 面会は「何をするか」より「安心できる時間かどうか」が大事
- 短い時間でも顔を見せてもらえると嬉しい
- 本人の話を否定せずに、受け止めると安心しやすい
- 昔の話やなじみのある話題は会話が広がりやすい
- できないことよりできていることに目を向けると本人もうれしい
- 面会の時に職員へ一言伝えてもらえると助かることがある
- 持ち物や差し入れは、事前に確認してもらえると嬉しい
- 面会後に不安になる言葉があっても、一人で抱え込まなくて大丈夫
- 面会は「頑張る場」ではなく「つながりを感じる場」
- まとめ
特養に家族が入所すると、
「面会では何を話せばいいんだろう」
「どんなふうに関われば本人が喜んでくれるんだろう」
と悩む方は多いと思います。
久しぶりに会うと何を話していいかわからなかったり、認知症がある場合は会話がうまくかみ合わなかったりして、「これでよかったのかな」と不安になることもありますよね。
でも、面会は特別に上手にしようとしなくても大丈夫です。
大切なのは、長く話すことよりも、本人が安心できる時間になることだと感じます。
この記事では、面会に来るご家族が知っておくと本人にも職員にも喜ばれやすいことを、現役介護士の目線でお伝えします。
面会は「何をするか」より「安心できる時間かどうか」が大事
面会というと、「楽しい会話をしなきゃ」「元気づけなきゃ」と思う方も多いです。
でも実際には、面白い話をたくさんすることより、顔を見せて、そばにいて、安心してもらうことのほうが大切なことが多いです。
特に高齢の方や認知症のある方は、会話の内容そのものよりも、「知っている人が来てくれた」「大事にされている」と感じることで落ち着くことがあります。
現場で見ていても、ご家族がそばに座って穏やかに話しているだけで表情がやわらぐ方は本当に多いです。
たくさん話せなくても、反応が少なくても、それだけで意味のある時間になっていることはよくあります。
短い時間でも顔を見せてもらえると嬉しい
ご家族の中には、「長くいられないから今日はやめておこうかな」と思う方もいます。
でも、面会は長さよりも、来てもらえること自体がうれしい方が多いです。
10分や15分でも、顔を見て声をかけてもらえるだけで安心されることがあります。
特に入所後しばらくは、不安や緊張が強い方も多いので、「また来たよ」「元気にしてるよ」と伝えてもらえるだけでも支えになります。
もちろん、毎回長時間来なければいけないわけではありません。
ご家族にも生活がありますし、無理を続けると面会そのものが負担になってしまいます。
無理のない範囲で、続けやすい形で会いに来てもらえることがいちばん大切だと思います。
本人の話を否定せずに、受け止めると安心しやすい
面会中によくあるのが、本人が
「家に帰りたい」
「ここは嫌だ」
「ちゃんとごはんを食べてない」
などと話す場面です。
ご家族としては驚いたり、否定したくなったりするかもしれません。
でも、そういうときにすぐ
「そんなことないよ」
「ここで頑張って」
と返すより、まずは
「そう思ったんだね」
「寂しいよね」
と受け止めてもらえると、本人は少し安心しやすいです。
特に認知症がある場合は、事実を正すことよりも、そのときの気持ちを受け止めるほうが落ち着くことがあります。
現場でも、気持ちに寄り添う関わりのほうが表情がやわらぐ場面をよく見ます。
面会のたびに完璧に対応しようとしなくて大丈夫ですが、
正すより、まず受け止める
これを意識するだけでも、本人の安心感は変わってきます。
昔の話やなじみのある話題は会話が広がりやすい
「何を話したらいいかわからない」というご家族は本当に多いです。
そんなときは、最近の出来事を無理に話すより、本人がなじみのある話題を選ぶと会話しやすいことがあります。
たとえば、
- 昔住んでいた家のこと
- 仕事をしていた頃のこと
- 好きだった食べ物
- 家族旅行の思い出
- 子どもや孫の小さい頃の話
こういった話は、認知症がある方でも反応しやすいことがあります。
うまく会話が続かなくても、写真を見せながら話したり、「覚えてる?」ではなく「こんなことがあったね」と話しかけたりすると、本人も気持ちよく話しやすいです。
面会は質問攻めにするより、一緒に思い出をたどるような時間のほうが穏やかになりやすいと感じます。
できないことよりできていることに目を向けると本人もうれしい
面会のとき、つい
「ちゃんと食べてる?」
「歩けなくなったね」
「前はもっとしっかりしてたのに」
と、できなくなったことに目が向いてしまうことがあります。
もちろん心配だからこそ出る言葉だと思います。
でも、本人にとってはそうした言葉がプレッシャーになったり、寂しさにつながったりすることもあります。
それよりも、
「今日顔色いいね」
「この服似合ってるね」
「元気そうで安心したよ」
と、今できていることや今の良さに目を向けてもらえると、本人も落ち着きやすいです。
現場でも、ご家族にほめられたり認められたりすると表情が明るくなる方は多いです。
面会の時間が「できなくなったことを確認する時間」ではなく、安心して過ごせる時間になるといいなと思います。
面会の時に職員へ一言伝えてもらえると助かることがある
面会は本人との時間が中心ですが、職員にとってもご家族と話せる大切な機会です。
ほんの一言でも、本人の好きなことや最近気になっていることを教えてもらえると、とても助かることがあります。
たとえば、
- 最近食欲が落ちていないか気になっている
- 夜の眠りはどうか気になる
- 昔好きだった食べ物や習慣
- 本人が落ち着く話題や苦手なこと
こうした情報は、日々の関わりのヒントになります。
また逆に、職員から
「今日はよく食べられていました」
「こんな表情をされていました」
と様子を伝えてもらえると、ご家族も安心しやすいです。
面会のたびに長く話す必要はありませんが、
家族と職員が少しずつ情報を共有できる関係があると、本人にとってもプラスになりやすいです。
持ち物や差し入れは、事前に確認してもらえると嬉しい
面会のときに差し入れや持ち物を持ってきてくださるご家族も多いです。
それ自体はとてもありがたいことですが、施設では安全面や体調面の関係で、持ち込みに注意が必要な場合があります。
たとえば、食べ物でも、むせ込みやすい方には向かないものがありますし、食事制限がある方もいます。
衣類や日用品も、施設の管理方法によって向いているものとそうでないものがあります。
そのため、何か持っていくときは、事前に確認してもらえると職員としてはとても助かります。
本人に喜んでもらいたい気持ちがあるからこそ、安全に使える形で届けてもらえるのがいちばんうれしいです。
面会後に不安になる言葉があっても、一人で抱え込まなくて大丈夫
面会のあと、ご家族が
「帰りたいって言っていた」
「つらそうに見えた」
「本当は無理をさせているんじゃないか」
と落ち込んでしまうことも少なくありません。
でも、その場の一言だけで全部を判断しなくて大丈夫です。
その日の体調や気分、そのときの不安でそういう言葉が出ることもあります。
気になることがあれば、面会後でも職員に相談してもらって大丈夫です。
「普段はどんな様子ですか」
「最近変わったことはありますか」
と聞いてもらえると、家族の不安も少し軽くなることがあります。
ご家族は、本人を大切に思っているからこそ不安になります。
だからこそ、ひとりで抱え込まず、施設と一緒に考えていけるといいと思います。
面会は「頑張る場」ではなく「つながりを感じる場」
ご家族の中には、「ちゃんとした面会をしなきゃ」と力が入りすぎてしまう方もいます。
でも、面会は何かを達成する場ではありません。
たくさん話せなくてもいいですし、毎回笑顔で終わらなくても大丈夫です。
大切なのは、本人が
「家族が来てくれた」
「自分のことを気にかけてくれている」
と感じられることだと思います。
現役介護士として感じるのは、面会は「介護の続きを家族がする時間」ではなく、家族としてのつながりを感じてもらう時間だということです。
だからこそ、うまくやろうとしすぎなくて大丈夫です。
顔を見せること、声をかけること、その人らしい時間を少し一緒に過ごすこと。
それだけでも十分意味があります。
まとめ
面会に来るご家族が知っておくと喜ばれやすいのは、長く話すことや特別なことをすることより、まず安心できる時間をつくることです。
短い時間でも顔を見せてもらえること、本人の話を否定せず受け止めてもらえること、昔の話やなじみのある話題で関わってもらえることは、本人にとって大きな安心につながります。
また、職員にひとこと様子を伝えたり、持ち物を事前に確認したりしてもらえると、日々のケアにもつながりやすくなります。
面会のあとに不安になることがあっても、一人で抱え込まずに相談して大丈夫です。
面会は、うまくやる場ではなく、つながりを感じる場です。
現役介護士として感じるのは、ご家族が来てくださること自体が、本人にとっても職員にとってもとても心強いということです。
無理のない形で、少しずつでも関わりを続けてもらえることが、いちばん喜ばれることなのだと思います。