- ご本人も着やすく介助しやすい服
- 前開きの服は思っている以上に助かります
- ズボンについて
- 肌着や靴下について
- 調整しやすい服
- 名前を忘れずに
- 洗いやすく乾きやすい服
- 管理しやすい持ち物
- 履物は安全第一
- その人らしい持ち物
- 困ったときは聞くのが確実
- まとめ
特養に入所すると、家族が最初に悩みやすいのが着替えや持ち物のことです。
何をどれくらい用意すればいいのか、どんな物が使いやすいのか、意外とわかりにくいと思います。
家族としては、本人が気持ちよく過ごせるように準備したいはずです。
でも実際の現場では、良かれと思って持ってきた物が使いにくかったり、管理しづらかったりすることもあります。
反対に、少しの工夫があるだけで、本人も過ごしやすくなり、職員の介助もしやすくなることがあります。
着替えや持ち物は小さなことのようでいて、毎日の生活にかなり影響します。
この記事では、着替えや持ち物で現場が助かる工夫を、日々の介護の場面を踏まえてわかりやすくお伝えします。
ご本人も着やすく介助しやすい服
着替えで大事なのは、おしゃれさよりも、着やすさと介助のしやすさです。
もちろん本人らしさも大切ですが、毎日着る服は、無理なく着脱できることがとても重要です。
たとえば、首まわりが狭すぎる服は、着るときに引っかかりやすくなります。
腕を通しにくい細身の服や、伸びない生地の服も、本人にとって負担になりやすいです。
一方で、少しゆとりがあり、伸縮性のある服は着替えやすく、介助もしやすいです。
本人が自分で着ようとする力も活かしやすくなります。
現場では、一日に何度も着替えが必要になることもあります。
だからこそ、毎回苦労しない服かどうかはとても大事です。
前開きの服は思っている以上に助かります
特に上の服は、前開きのものが使いやすいことが多いです。
ボタンでもファスナーでもよいのですが、かぶるタイプより負担が少ない場面があります。
腕が上がりにくい方や、肩に痛みがある方は、かぶる服だと着替えそのものがつらくなることがあります。
認知症のある方でも、前から見て着る流れがわかりやすいと、落ち着いて着替えやすいことがあります。
ただし、ボタンが小さすぎると本人も職員も扱いにくいです。
細かいボタンがたくさんある服より、留めやすいもののほうが現場では助かります。
見た目だけで選ぶとわかりにくいですが、着替えのしやすさという意味では、前開きの服はかなり実用的です。
ズボンについて
ズボンは、見た目がきちんとしていることより、はきやすさが大事です。
ウエストがゴムで、ゆとりがあるものは、とても助かります。
排泄介助では、上げ下ろしがしやすいかどうかが大きなポイントです。
きついズボンや、ボタンやベルトが必要なものは、本人にとっても職員にとっても負担になりやすいです。
また、丈が長すぎるズボンは、すそを踏んで転倒につながることがあります。
逆に短すぎると、冷えやすかったり、見た目が落ち着かなかったりすることもあります。
その人の体格に合った長さを選ぶことが大事です。
外出用のようなしっかりした服より、毎日の生活の中で無理なく使える服のほうが、施設では役立つことが多いです。
肌着や靴下について
肌着や靴下は見落とされやすいですが、毎日使うのでとても大事です。
肌着は体にぴったりしすぎないもののほうが、着替えやすくなります。
靴下は、きつすぎるものだとむくみがある方には負担になります。
反対に、ゆるすぎると脱げやすくなったり、歩くときにずれたりします。
また、名前を書く場所があるかどうかも地味に大事です。
小物ほど混ざりやすいため、管理しやすいものだと助かります。
家では気にならなかったことでも、集団生活では管理しやすさがかなり重要になります。
小さな物ほど、選び方に差が出やすいです。
調整しやすい服
家族は季節に合った服をしっかり選んでくださることが多いです。
それはとてもありがたいことです。
ただ、施設の中は空調があるため、外の気温と同じ感覚ではないこともあります。
そのため、一枚で決める服より、重ね着しやすい服のほうが助かることがあります。
暑い寒いの感じ方は人それぞれなので、少し調整できるほうが過ごしやすいです。
厚手すぎる服ばかりだと、室内では暑く感じる方もいます。
反対に、薄い服ばかりだと朝夕に寒くなりやすいこともあります。
何枚も着込むというより、必要に応じて一枚足したり引いたりできる組み合わせが使いやすいです。
名前を忘れずに
持ち物でいちばん助かる工夫のひとつが、名前つけです。
これは本当に大切です。
施設では洗濯をまとめて行うことも多く、似たような衣類が集まります。
名前がないと、どれが誰の物かわからなくなりやすいです。
しかも、ただ名前があればよいわけではありません。
薄くなって読めないものや、洗濯で取れやすいものは、結局確認に時間がかかります。
衣類なら、見つけやすい場所に、はっきりわかる形で名前があると助かります。
靴下や肌着のような小さい物ほど、名前つけが大切です。
家族からすると手間に感じるかもしれませんが、名前がしっかりついているだけで、毎日の管理はかなりしやすくなります。
洗いやすく乾きやすい服
施設では、食事や排泄、入浴などで服が汚れることがあります。
そのため、洗いやすく乾きやすい服はとても助かります。
デリケートな素材や、しわになりやすい服、飾りが多い服は、日常使いにはあまり向かないことがあります。
見た目は素敵でも、毎日気軽に洗えないと使いづらくなります。
また、同じ服でも、乾きにくいものは枚数が足りなくなりやすいです。
洗濯してすぐ使えるかどうかは、実際の生活では大きな差になります。
施設で使う服は、外出着より生活着という感覚で選ぶほうが、結果的に本人も職員も助かることが多いです。
管理しやすい持ち物
本人らしさを大切にしたくて、使い慣れた物や気に入っていた物を持たせたくなる気持ちはよくわかります。
ただ、高価な物や代わりがきかない物は、施設では慎重に考えたほうがよいこともあります。
集団生活では、紛失や取り違えの可能性を完全になくすのは難しいです。
そのため、なくなると困る物や、壊れると困る物は、できるだけ避けたほうが安心な場合があります。
普段使いのコップやタオル、くしなども、特別な物より管理しやすい物のほうが現場では助かります。
本人の安心感につながる物は大切ですが、毎日使うなら扱いやすさも大事です。
気持ちの面と管理のしやすさの両方を考えて選ぶことが、結果的に長く使いやすい持ち物につながります。
履物は安全第一
履き物は、見た目より安全が最優先です。
特に施設内で使うものは、脱げにくく、滑りにくいものが助かります。
かかとのない履き物や、大きすぎる靴は、つまずきや転倒につながりやすいです。
本人が昔から履き慣れている形であっても、今の体の状態には合わないことがあります。
反対に、足に合っていて、着脱しやすく、歩くときに安定する履き物は、本人の動きやすさにもつながります。
むくみがある方や、足の変形がある方では、特に慎重に選んだほうがよいです。
履き物は毎日使うものなので、少しの合わなさが積み重なると大きなストレスになります。
施設に合ったものを選ぶことはとても大切です。
その人らしい持ち物
実用性は大切ですが、それだけでは少しさみしいこともあります。
施設での生活でも、その人らしさを感じられる物が少しあると安心につながることがあります。
たとえば、見慣れたひざかけ、使い慣れたくし、好きな柄のタオルなどです。
毎日の生活の中で目に入る物に親しみがあるだけで、落ち着く方もいます。
ただし、数が多すぎると管理しづらくなります。
たくさん持ち込むより、本人にとって意味のある物を少し選ぶほうが、現場でも扱いやすいです。
その人らしさと管理のしやすさのバランスが取れていると、本人にとっても家族にとっても安心しやすいです。
困ったときは聞くのが確実
ここまでいろいろ書きましたが、施設によって考え方や管理のしかたは少しずつ違います。
そのため、迷ったときはいちばん先に施設へ聞くのが確実です。
服の形や枚数、名前つけの方法、持ち込みできる物、避けたほうがよい物。
こうしたことは、施設ごとにルールや実情が違うことがあります。
家族だけで考えてそろえるより、先に確認したほうが無駄が少なくなります。
結果的に、本人にとっても使いやすい準備になりやすいです。
現場としても、相談しながら準備してもらえると、とてもありがたいです。
まとめ
着替えや持ち物で現場が助かる工夫は、特別なことではありません。
着やすい服、介助しやすい形、洗いやすい素材、見えやすい名前つけ、安全な履き物。そうした小さな工夫の積み重ねです。
家族としては、よい物を持たせたい、本人らしい物を選びたいという気持ちがあると思います。
その思いはとても大切です。
ただ、施設では毎日の生活の中で使いやすいことも同じくらい大切になります。
現役介護士として感じるのは、持ち物が整っているだけで、本人の生活が少し楽になり、介助も少しやわらかくできるということです。
着替えや持ち物は小さな準備に見えて、実は毎日の安心につながっています。