- まず伝えたいのは、家族が不安になるのは当たり前ということ
- 介護士がうれしいのは、感謝の言葉以上に気持ちが伝わること
- 本人のことを具体的に教えてくれる
- 相談してくれる
- 変化に気づいたときに共有してくれる
- 本人の前で強い言葉をぶつける
- その場の一瞬だけで決めつけられる
- 職員ごとに違う情報を伝える
- 出来ていない部分だけを見る
- 施設にできることとできないことが混ざってしまう
- 本当に助かるのは、本人を中心に話してくれること
- まとめ
特養で働いていると、ご家族とのやり取りはとても大切だと感じます。
介護は施設だけで完結するものではなく、ご本人を中心にして、家族と職員が一緒に支えていくものだからです。
ただ、家族も不安を抱えていますし、職員も忙しい中で対応しています。
そのため、お互いに悪気はなくても、言い方や伝え方ひとつですれ違ってしまうことがあります。
実際の現場では、たった一言で関係がやわらかくなることもあれば、逆に小さな行き違いが積み重なってしまうこともあります。
だからこそ、家族の言葉や関わり方はとても大きいです。
この記事では、介護士がうれしいと感じる家族の言葉と、現場で少し困りやすい家族の言動について、できるだけ正直に、でも一方的にならないようにお伝えします。
まず伝えたいのは、家族が不安になるのは当たり前ということ
最初にお伝えしたいのは、ご家族が不安になるのは当然だということです。
大切な家族を施設に預けること自体が大きな決断ですし、毎日の様子が見えにくくなることで心配になるのも自然なことだと思います。
そのため、質問が多くなることもありますし、少し敏感になることもあります。
現場の職員も、そこをまったくわからないわけではありません。
だからこそ、この記事でいう「困る言動」は、家族の性格が悪いという話ではありません。
不安の伝え方によっては、かえって本人にとってよい関わりがしにくくなることがある、という意味です。
大事なのは、家族が遠慮しすぎることでも、感情を抑え込みすぎることでもありません。
不安があっても、伝え方次第で職員との関係はずいぶん変わると感じます。
介護士がうれしいのは、感謝の言葉以上に気持ちが伝わること
介護士が家族から言われてうれしい言葉というと、「いつもありがとうございます」を思い浮かべる方が多いかもしれません。
もちろん、それは本当にうれしいです。
でも実際には、感謝の言葉だけがうれしいわけではありません。
大切なのは、こちらの関わりを見てくれていることや、一緒に支えようとしてくれている気持ちが伝わることです。
たとえば、
最近の様子を教えてくれてありがとうございます
食事のことを気にして見てくださって助かります
本人のことをよく見てくれているのが伝わります
こうした言葉は、職員にとって大きな励みになります。
介護の現場は、やって当たり前と思われやすい仕事でもあります。
その中で、見えにくい部分まで気づいてもらえると、やはりうれしいです。
介護士とご家族の関係はご利用者本人にとって本当に大切なことなので、ぜひ覚えておいてください。
本人のことを具体的に教えてくれる
現場でとても助かるのは、ご本人のことを具体的に教えてくれる家族です。
性格、好きな話題、苦手なこと、不安になったときの反応、落ち着く言葉。そうした情報は日々のケアにそのまま役立ちます。
特に入所してすぐの頃は、職員もまだその方のことを十分にわかっていません。
そのときに家族から、こういう言い方だと安心しやすいです、昔から朝はゆっくりな人です、急がされるのが苦手です、といった情報があると関わり方が変わります。
介護士としてうれしいのは、ただ情報が多いことではなく、その情報が本人の生活につながる形で伝わることです。
家族しか知らないことの中に、その人らしいケアのヒントがたくさんあります。
これは現場にとって本当にありがたいです。
単なる雑談ではなく、日々の支え方を考える材料になるからです。
相談してくれる
家族から何か気になることを言われるとき、職員が受け取りやすいのは、責める形ではなく相談として話してもらえるときです。
たとえば、最近食事量が気になっていて、普段の様子を教えてもらえますか、という言い方です。
これが、ちゃんと見てくれているんですか、どうなっているんですか、という形になると、同じ不安から出た言葉でも空気がかなり変わります。
職員も身構えてしまい、本来なら一緒に考えられることが、説明や防御のやり取りになってしまうことがあります。
現場でうれしいのは、何かあったときに一緒に考えようとしてくれる家族です。
気になることがあるのは当然ですし、むしろ聞いてもらったほうがよいことも多いです。
そのときに、確認したい、相談したい、という姿勢で話してもらえると、職員側も状況を整理して伝えやすくなります。
変化に気づいたときに共有してくれる
面会に来る家族だからこそ気づけることがあります。
顔色が違う気がする、前より反応が弱い気がする、手がむくんでいるように見える。そうした小さな変化を教えてもらえるのはありがたいです。
毎日見ていると、少しずつの変化は見えにくいこともあります。
だからこそ、久しぶりに会う家族の目線が役立つことがあります。
ただ、その伝え方がとても大切です。
前より元気がない気がしたのですが、最近どうですか、と共有してもらえると、現場でも改めて意識して見ることができます。
家族の気づきと職員の日々の観察が合わさると、よりよいケアにつながりやすいです。
そういう意味で、変化を一緒に見てくれる家族の存在は本当に心強いです。
本人の前で強い言葉をぶつける
現場で特に困るのは、本人の前で職員を強く責めることです。
家族として不満があるとき、ついその場で言いたくなることもあると思います。
でも、本人の前で強い口調になると、ご本人が不安になったり、自分が迷惑をかけていると思い込んだりすることがあります。
特に認知症のある方は、内容がわからなくても、その場の緊張した空気には敏感です。
声の強さや表情だけで不安定になることもあります。
気になることがあるときは、本人の前ではなく、少し場所やタイミングを変えて話してもらえると助かります。
それだけで、ご本人への影響もかなり違ってきます。
家族の気持ちはもっともでも、その場の伝え方によって、本人がいちばんしんどい思いをしてしまうことがあるのです。
その場の一瞬だけで決めつけられる
面会に来たタイミングで、たまたま職員が別の対応に追われていたり、ご本人が不安定だったりすることがあります。
その一場面だけを見て、いつも放っておかれている、ちゃんと見ていない、と断定されると、現場としてはとても説明が難しくなります。
もちろん、家族がその場面を見て不安になるのはわかります。
ただ、施設の生活は一日の流れの中で動いているため、短い時間だけでは見えない部分も多いです。
だからこそ、見たままをそのまま責めるより、今こういう場面を見て心配になりました、と伝えてもらえると助かります。
そのほうが、職員も背景を説明しやすくなりますし、必要があれば改善にもつなげやすいです。
現場で困るのは、見たことそのものではなく、確認なしに結論を出されてしまうことです。
職員ごとに違う情報を伝える
家族の中には、ある職員に言って反応が薄いと、別の職員に同じ話をし、さらにまた別の職員に話すことがあります。
気持ちはわかるのですが、情報がばらばらに伝わると、現場ではかえって混乱しやすくなります。
特に、要望や不安がある場合は、誰にどう伝えたかが整理されているほうが対応しやすいです。
いろいろな職員に少しずつ違う形で伝わると、話が大きくなったり、本来の意図とずれて伝わったりすることがあります。
困るのは、訴えがあることではありません。
伝え方が分散しすぎて、現場全体で整理しにくくなることです。
気になることがあるときは、窓口になる職員や相談員、リーダーなどにまとめて話してもらえると、現場としてはかなり助かります。
出来ていない部分だけを見る
家族は大切な人を預けているので、どうしても気になる点に目が向きやすいです。
それは自然なことです。
ただ、いつも指摘だけが続くと、現場との関係が少しずつ固くなってしまうことがあります。
たとえば、気になることがあるたびに厳しい言葉だけが続くと、職員側もその家族と話すときに緊張しやすくなります。
そうすると、本来ならもっと自然に伝えられる日々の様子や小さな変化も、共有しにくくなることがあります。
もちろん、家族が職員を気遣うために我慢すべきという意味ではありません。
ただ、気になる点を伝える中でも、最近よく見てくれて助かっています、といった一言があるだけで、お互いの関係はかなり違います。
現場でうれしいのは、完璧だと思われることではなく、こちらの努力も少し見てもらえていると感じられることです。
施設にできることとできないことが混ざってしまう
特養は生活の場ですが、家とまったく同じにはできません。
病院のような医療体制でもありませんし、一人だけに合わせた個別対応をすべての場面で行えるわけでもありません。
そのため、家で当たり前だったことをそのまま施設でも当然できるはず、と考えられると、現場では対応が難しくなることがあります。
たとえば、毎回必ず同じ時間に特別な対応をしてほしい、いつでも一対一で長く付き添ってほしい、といった要望です。
ご本人にとって大切なことなら、もちろんできる限り考えます。
ただ、現場には他の入所者さんの生活もあり、職員配置にも限りがあります。
困るのは、要望があることではなく、施設の役割や限界をすべて無視したまま話が進むことです。
ここが共有できていると、家族と現場はぐっと連携しやすくなります。
本当に助かるのは、本人を中心に話してくれること
介護士としていちばんうれしいのは、家族が本人を中心に考えて話してくれることです。
職員への好き嫌いや感情だけでなく、この人が少しでも落ち着いて過ごせるようにしたい、という軸で話してもらえると、現場も同じ方向を向きやすくなります。
たとえば、最近こういう様子があるので、本人が安心できる方法を一緒に考えたいです、という言い方です。
この伝え方だと、家族も職員も対立しにくくなります。
現場では、家族と職員が敵になると、ご本人がいちばん苦しくなります。
逆に、少しでも同じ方向を向けると、毎日の関わりはかなり変わります。
だからこそ、うれしい言葉というのは、ただ優しい言葉という意味ではありません。
本人のために一緒に考えようとしてくれる言葉が、いちばん心に残ります。
まとめ
介護士がうれしい家族の言葉は、感謝の言葉だけではありません。
本人のことを具体的に教えてくれること、相談として話してくれること、変化を共有してくれること、一緒に考えようとしてくれること。そうした関わりが、現場ではとてもありがたいです。
一方で、困りやすいのは、本人の前で強い言葉をぶつけること、その場の一瞬だけで決めつけること、職員ごとに話を分散させること、できていない部分だけで関係が固まってしまうことです。
どれも悪気ではなく、不安や心配から出ていることが多いからこそ、伝え方が大切になります。
現役介護士として感じるのは、家族と職員の関係は、ほんの一言でやわらかくもなれば、ぎくしゃくもするということです。
でも、どちらも本人を大切に思っているという土台は同じはずです。
だからこそ、責め合う形ではなく、本人にとって何がよいかを一緒に考えていける関係がいちばん大切だと思います。