介護士の日常

ご利用者のよくある悩みと職員の現実を綴ります

看取りまで考えるとき、家族が知っておきたいこと。現役介護士目線でお伝えします

 

特養での暮らしを考える中で、いつか看取りのことまで考えなければいけないのかもしれない、と感じるご家族は多いと思います。
でも、この話題は重くて、何から考えればいいのかわからなくなりやすいです。

まだ早い気がする。
今その話をするのはつらい。
本人にどう向き合えばいいのかわからない。
そう感じるのはとても自然です。

この記事では、特養での看取りまで考えるときに、家族が事前に知っておきたいことを、できるだけ落ち着いた形で整理してお伝えします。
今すぐ結論を出すためではなく、迷ったときに考える順番を持つための記事として読んでいただけたらと思います。

看取りは最後の数日だけの話ではない

看取りという言葉を聞くと、亡くなる直前の数日だけを思い浮かべる方も多いと思います。
でも実際には、本人が何を大切にしたいか、どこでどのように過ごしたいか、医療やケアをどこまで望むかを、少し前から考え、話し合っておくことが大切です。

話し合いは一度で終わるものではなく、心身の状態に応じて繰り返すことが重要とされています。

家族が知っておきたいのは、看取りを考えることは、もう終わりの話をすることではないということです。
むしろ、本人のこれからの過ごし方を、本人らしさを中心に考えるための準備に近いものだと思います。

本人が何を大事にしたいか

本人が自分の言葉で意思を伝えられなくなる可能性もあるため、早い段階から、本人が大切にしたいことや望む生き方を家族や信頼できる人と共有しておくことが大切です。

ここで大事なのは、いきなり延命をどうするかという難しい話から入らなくていいことです。
苦しくないことを大事にしたいのか。
なるべく住み慣れた場所で過ごしたいのか。
家族と一緒の時間を大切にしたいのか。
そうした価値観の話から始めるだけでも十分意味があります。

本人の意思が確認しにくくなる前に家族に共有しておく

家族として知っておきたいのは、いざ急変してから誰がどう決めるかで慌てないようにしておくことです。
兄弟姉妹で気持ちが分かれてしまうこともありますし、本人の思いが共有されていないと、その場のつらさだけで判断しなければならなくなることがあります。
だからこそ、少し元気なうちから、本人の思いを家族の中で共有しておくことが大切です。

特養での見取りはどの施設でも同じではない

特養は生活の場ですが、看取りへの取り組みは施設ごとに差があります。

つまり、看取りまで考えるなら、その特養が看取りをどう考えているかを必ず確認したほうがいいです。
同じ特養でも、できるだけ施設内で支えたいところもあれば、急変時は早めの搬送を基本にしているところもあります。
ここが曖昧なままだと、家族の思いと施設の対応がずれてしまいやすいです。

看取りを選ぶことは見捨てることではない

医療・ケアチームが、可能な限り疼痛やその他の不快な症状を十分に緩和し、本人だけでなく家族への精神的・社会的援助も含めた総合的な医療・ケアを行うことが必要です。
つまり、看取りは治療をやめるだけの話ではなく、苦痛を和らげ、本人がその人らしく過ごせるよう支えるケアでもあります。

家族が知っておきたいのは、看取りに向かう話し合いは、見捨てる話ではないということです。
むしろ、本人にとって何がいちばん大切かを考えながら、苦しさや不安を減らしていくためのケアをどう支えるか、という視点が大事になります。

家族が迷いやすいことも前もって話しておく

看取りが近づくと、家族はその場で多くの判断を迫られたように感じやすいです。

だからこそ、まだ落ち着いて話せるうちに、家族の中でも
何をいちばん大事にしたいのか
本人の思いをどう支えたいのか
迷ったときは誰が窓口になるのか
を話しておくと、その場の後悔が少なくなります。

家族の不安や辛さも相談していい

看取りを考える時期は、本人の状態だけでなく、家族の不安や迷いも大きくなりやすい時期です。

家族は、こんなことを聞いていいのかなと思ってしまいがちですが、
どのくらい呼吸や食事の変化がありそうか
連絡はいつ来るのか
自分たちはどう関わればいいのか
本人は苦しくないのか
そうした不安は、遠慮せず施設や医師、看護職に相談していいと思います。
看取りは家族だけで抱えるものではなく、チームで支えるものです。

正解を急がなくて大丈夫

ACP、つまり人生会議は、一度決めたら終わりではなく、繰り返し話し合うことが前提とされています。
心身の状態に応じて意思は変化しうるため、話し合いを重ね、その都度共有することが大切だと厚生労働省は示しています。

なので、家族が最初から完璧な答えを持っていなくても大丈夫です。
むしろ大事なのは、本人の思いを軸にして、施設や医療・ケアチームと少しずつ確認を重ねていくことです。
一回の話し合いで全部を決めようとしないほうが、かえって現実に合った支え方を選びやすいです。

まとめ

看取りまで考えるとき、家族が知っておきたいのは、まず本人の思いをできるだけ早いうちに確認し、家族や医療・ケアチームで共有しておくことです。
人生の最終段階の医療・ケアは、本人の意思決定を基本にしながら、繰り返し話し合い、共有していくことが大切だと厚生労働省は示しています。

また、特養での看取りは施設ごとに体制が違うため、看取りの方針、医師や看護職との連携、夜間対応、家族への連絡の流れなどを事前に確認しておくことが重要です。
令和6年度改定でも、協力医療機関との連携強化が進められており、家族にとっても「どこまで支えられる体制なのか」を知る意味は大きいです。

現役介護士として感じるのは、看取りを考えることは、つらい結論を急ぐことではなく、本人が大切にしたいことを見失わないための準備だということです。
まだ早いかもしれないと思う時期でも、少しずつ話し合いを始めておくことが、本人にとっても家族にとっても支えになると思います。